2005年10月7日掲載
Tim Ries                The Rolling Stones Project
Tames Music原盤   2002年録音

 最も長い期間聴いているミュージュシャンはストーンズであることや、香港に起こった悪夢SARDSとストーンズの関係については、既にこのコーナーで書いたので省略しましょう。

 ストーンズのコンサートでは、メンバー紹介が終った後で、キースの歌となります。これは2002年から40リックス・ツアーでも同様のことでした。最初に紹介されるのは、ホーン・セクション。ストーンズの盟友と言うか悪友というか、サックスのボビーが仕切っているホーン・セクション4人集です。NYのアリーナでも、ロンドンのスタジアムでも、パリのシアターでも、そして香港でも最初に紹介されたのが、本盤の主役であるテナー・サックス奏者のティム・リースでした。

 このホーン・セクションに関しては、どうしても耳と目はボビーにいってしまうこともありますが、このリースに関する記憶は無難な奏者との印象だけでした。

 さてこのリースが、ストーンズ曲集を発表したのです。何でも40リックス・ツアーのリハーサルが始まる前から、デモ・テープの録音を行ったとか。それを聴いたストーンズ・ツアー御一行の中からも、録音への参加する者がでてきたのです。その中には、何とキースとチャーリーも含まれております。ジャズ畑からの参加者としては、ビル・チャーラップ(p),ブライアン・ブレイド(d),そしてビル・フリーゼル(g)が有名どころと言えます。

 収録曲は、ストーンズの有名な11曲に加えて、リース作の1曲。僕個人としては、長年のアイドルであるキースの参加曲に、どうしても目がいってしまいます。『スリッピング・アウェイ』と『ホンキー・トンク・ウィメン』の2曲に、キースは参加しております。

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 ストーンズのお馴染みメロディを借りて、奔放なジャズ演奏だったら良かったのにとの感想で、聴き終えました。実際は、ストーンズのオリジナルと格闘しながら、如何に崩していくかにもがいていた内容という印象が強かったです。

 さて、『ホンキー・トンク・ウィメン』ですが、これは2バージョン収録されています。最初のは、オルガンとワッツのドラムを入れたトリオ演奏。ここでは、このお馴染みメロディでのリラックスした演奏となっております。

 そしてもう一方のキース入りでは、キースのお馴染みのリフ・ギターで始まっていく内容。このお馴染みの雰囲気の中で、幾つかの仕掛けを用意していくリースですが、キースのギターの存在の前には陰が薄い状態です。もっと気軽に考えて、キースのお馴染みギターに楽しく乗っていく感じが欲しかった。

 いずれにしてもこの盤は、一般ジャズ・ファンに勧める作品ではないです。個々のミュージュシャンの熱心なファンに、存在意義がある盤です。そしてもう一方では当然ながら、ストーンズ・ファン向けの作品。僕にとってのこの盤は、後者であることはいうまでもないことです。