これは、ノルウェーの逸材が集まって結成されたグループの、ファースト・アルバムであります。
先ずはピアノのヨン・バルケの話からしよう。1955年生まれの彼は、ベース奏者のアリルド・アンデルセンのクァルテットに1974年に加わり、1975年には初レコーディングをそこで体験しました。その後1978年からは自己のトリオを組み、また「エレオン」というグループでも活躍しました。1979年にはジョン・サーマンやカーリン・クローグ等と共演を重ねながら、1982年には「オスロ13」に参加しリーダー的な存在になりました。その後の活動が、本作品から開始されたマスカレロなのであります。
このグループには、アリルド・アンデルセン(b)も参加しております。アンデルセンは1945年生まれで、ノルウェーを代表する音楽家の一人なのだそうです。1960年代後半にジョージ・ラッセルから音楽理論を学んだ後に、ヤン・ガルブレイクやカーリン・クローグらと活動しました。さらには欧州に来たアメリカの様々なミュージュシャンとも、積極的な共演を重ねていったのです。
サックス(ts,ss)奏者として、トーレ・ブルンボルグがマスカレロに参加してます。彼は1960年生まれで、「オスロ13」にも加わってました。そして Nils Petter Molvar(tp)と Jon Christensen(d)が加わっての、マスカレロはクィンテット編成なのであります。
以上は「ヨーロッパのジャズ・ディスク1800」からの引用でありますが、なかなか音が想像できないでおります。欧州風の澄んだ音にフリーが加わった感じなのでしょうかね。
フリーを消化し、ロックのリズムを違和感なく取り入れ、グループ・サウンドを真摯に追求した作品と言えるでしょう。クレジットを読むと、1996年にCD化された際に、幾つかの曲が追加され、またリマスターされてようだ。そのため全14曲の70分超の内容になっているが、良いメロディの曲が多い。ほぼ全てがメンバー作のため、それぞれの作曲能力の高さが伺える。そして、そのメロディを凝ったアレンジなのに素直に届く演奏になっている。またアドリブも、全体の流れから逸脱した感は全く無いものだ。
当時の日本で、そして世界で、この作品がどのように評価されたかに興味が湧いてくる。