ネット通販会社DNの謳い文句「実はこれ、新作ではありません。ですがここ数年のピアノトリオ・ブームのなかでも秀逸の一枚です。」に惹かれて2004年4月頃に発注し、9月に香港に持ってきたCDです。結局ここで取上げるのは、2005年になってしまいました。
欧州美旋律系ピアノ・トリオには飽きてきたと、このコーナーに書いたのが既に3年前になります。雨後の竹の子のような発売ラッシュに嫌気がさした面も強いのですが、その作品群の中で「秀逸の一枚」なら聴いてみようとの思いから、購入に至った次第です。
リーダーはピアニストで、Peter Kontrimas(b),Alan Hall(d)が参加しており、スタンダードを中心とした選曲です。
1曲目は『It's you or no one』。これは、デクスター・ゴードンの力強いサックスが耳に残っている曲です。これをハリソンは、実にあっさりと演奏しています。
ハリソン作のタイトル曲は、その名通りの曲調。浪漫溢れるメロディを、過多な思い入れを排除して演奏していて、なかなかのもの。バックのリズム感の良さ、特に硬質のシンバルが効果的に決まっております。
ハリソンのあっさり感、無理やりに感情を高めるような姿を見せない辺りが、この盤の人気の所以なのでしょうかね。『willow weep for me』でも、その辺りを実感出来ます。