MPS盤の復刻CD化は着実に行われており、このコーナーでも既に16枚取上げてきました。今日取上げるのは、MPSの代表的存在でもあるクラーク-ボラン・ビッグ・バンドであります。クラークについては改めて紹介することもないので、ピアニストのフランシー・ボランについて少し書きます。
1929年にベルギーに生まれたボランは、1949年にパリジャズ万国博に出演しました。その後、1950年ドイツ,1951年~1954年パリで活動し、1955年~1956年にかけてはチェット・ベイカーの欧州ツアーに参加したのです。この頃からピアニストとしてだけではなく、作編曲家としても高い評価を得ておりました。その事がケニー・クラークとのビッグ・バンド結成につながり、1961年から1973年までの長期間活動、そのビッグ・バンドは活動していたのです。
この盤への参加メンバーを書きます。Benny Bailey(tp), Idrees Sulieman(tp), Jimmy Deuchar(tp), Sonny Grey(tp), Ake Persson(tb), Nat Peck(tb), Eric van Lier(tb), Derek Humble(as), Johnny Griffin(ts), Ronnie Scott(ts), Tony Coe(ts), Sahib Shihab(bs), Jimmy Woode(b), Dave Pike(vib) というメンバーです。
欧州の俊英達、そして欧州を訪問しているアメリカのミュージュシャンが参加しております。
「ハイ・スピードな演奏が、このビッグ・バンドの身上」という評価を、聞いた記憶があるのですがね。ジャケを見ると、フリーっぽさが加わってると思ったのですがね。
今回初聴きになるクラーク-ボラン・ビッグ・バンドの演奏は、真正面から楽しいジャズに取り組んでいる内容です。魅力は絶妙なボランのアレンジと、曲毎にフューチャーされているソリストの演奏です。『gloria's theme(from "butterfield eight")』という曲は、少しクサイ感じのバラッド。そこに絶妙なアレンジを施し、面白く聴ける演奏にしています。ここでの Tony Coe(ts) のソロは、なかなかのもの。続くスタンダードの『sweet and lovely』では、Johnny Griffin(ts) の演奏が楽しめます。
本当に楽しい1枚でした。