2004年9月8日掲載
Aki Takase       Blue Monk
Enja原盤         1991年4月録音

 高瀬アキの印象といえば、ジャズを聴き始めた頃に、渋谷ジャロさんの新譜コーナーを飾る彼女の作品群でありました。今彼女のwebページを見たところ、この時期に5枚の作品を吹き込んでおります。それらの作品の中から何枚か聴いたのですが、フリー・ジャズ・ピアニストの彼女がそこにおり、当時の僕には受け入れ難いものがあったのです。

 1989年から高瀬はマレイとのデュオ活動を始め、その成果を1991年のこの作品に残したのです。ジャロの壁を飾る彼女の作品を見てから、10年後のことでした。アルバム・タイトルから想像出来る通りに、モンクの曲を中心に収録しております。

20040908

 ピアノはキラキラ輝く宝石箱のような演奏で、マレイのバス・クラは絶好調のフレーズ連発。1曲目のタイトル曲を聴いただけで、本盤の出来の高さを感じ取れます。スタンダードの「ボディ&ソウル」では、深みのある両者の演奏が聴けます。高瀬とマレイの共同作曲「エリントニア」では、最初にマレイのバス・クラ。その後に高瀬の宝石箱ピアノが登場し、楽しげに曲が終了しております。ここで、バス・クラとピアノの相性の良さを実感しました。

 勿論マレイのテナー・サックスを思う存分楽しめる曲が用意されてますが、極みは最後に用意されたバラッド2つでしょう。高瀬作の「回想」では、懐かしい思いにさせる曲で、テナーとピアノの持ち味が生きているもの。しかし、この二人は、気が付くとフーリーキーな演奏になっている。これもこれで、二人の持ち味が生きていますね。

 最後にマレイ作の「バラッド・フォー・ザ・ブラックマン」が登場します。マレイは1989年にこの曲を吹き込んだのですが、ここでもそれに負けない名演です。切ないメロディを二人が切々と演奏し、その後マレイの最高のソロが聴けます。また、高瀬のソロも、手の込んだ仕掛けが用意されたもの。

 マレイにとってもトップの部類に入る演奏が聴ける本盤ですし、高瀬もフリーのイメージとは違った彼女の素敵な姿を示しています。

 名盤と言えるでしょう。