2004年9月7日掲載
Bobby Battle         The Offering
Mapleshade原盤    1990年11月録音
 

 このコーナーでボビー・バトル(d)は初めてになりますが、彼は1944年のデトロイト生まれのお方です。7歳からドラムを叩き始め、1961年に高校を卒業した後、ベトナム戦争に従軍したそうです。その後海軍の学校で音楽を学びました。除隊後、1966年にデトロイトに戻ったのですが、1968年にはNYに出て、すぐにローランド・カークと演奏する機会を得ました。その後ドン・ピューレンと共演した後、1977年にはアーサー・ブライスと知り合い活動の幅を広げていきました。

 その中でマレイとも知り合いになり、1989年にはマレイの録音にも参加しました。そしてその翌年に、今度はマレイがバトルの録音に参加することになったのです。

 Larry Willis(p),Santi Debriano(b)との収録です。

20040907

 ラリー・ウィリスは、スティープル・チェイスからリーダー作を出しており、このボビー盤とほぼ同じ時期に吹き込んだ「ジャスト・イン・タイム」は、結構好きな盤であります。何故だか、このコーナーで取り上げておりませんね。そんなラリーは1942年生まれで、早くから多くのジャズ・ジャイアントと共演しておりました。1970年代前半にはBS&Tで脚光を浴びたこともありました。

 そんな彼のピアノを堪能出来る本盤なのですが、ラリー作のマイナー・ブルース「to wisdom, the prize」では、急ぐボビーのドラムと感情たっぷりのラリーのピアノがミスマッチ。しかし、アップ・テンポのタイトル曲では、両者勢い満点で気持ちの良い演奏となっております。残念なのは、この2曲はトリオ演奏であり、マレイが加わってないこと。特にタイトル曲で、ボビーのドラムとマレイのテナーが絡み合う演奏を聴きたかったですね。

 また、このタイトル曲の作者はベースの Santi Debriano なのですが、彼の作曲力はなかなかのもので、「jazz laughter」という曲も用意されております。ここでは、マレイ節を堪能出来る演奏になっております。

 マレイに注目して聴く者には物足りなさが残りますが、ドラムとピアノを中心に聴くというこの盤本来の聴き方ならば、十分満足できる内容です。