リンダ・ロンシュタットは、18歳の時に友人からシナトラとレイ・チャールスを聴くように勧められたとか。その後、ポップス歌手として脚光を浴びてからは、ミック・ジャガーからパーカーとベン・ウェブスターのレコードを贈られたとか。これらを聴きこみながら、さらにエラやホリデイ,そしてベティやサラからも影響を受けていたとのこと。
こんな風にジャズに接してきたポップス歌手の彼女が、1980年代前半から立て続けにジャズ作品を吹き込んだのです。3枚あり、どれもが大ヒット。僕はこの3枚を同時に買ったのですが、それはヴォーカル作品に興味を持ち出した1980年代後半だと記憶しております。その3部作のなかの1作目は以前ここで取り上げましたが、今日取り上げるのは3作目です。ネルソン・リドルのアレンジは3作共通であります。
ディズニーの大物プロデューサーのグスタボ・ボーナーという方は、映画などの音楽に大物ロック・ミュージュシャンを使ってきた人なのです。「ターザン」でフィル・コリンズを、「ラマになった王様」でスティングを起用してきました。昨年「ピノキオ」をDVD化する際に、有名ロック歌手にテーマ曲「星に願いを」を歌わせたいと考え、白羽の矢があったのが永ちゃんでありました。
この曲はジャズでも何人も取り上げておりましたが、僕が印象深いのはケニー・ドリューの演奏くらいでした。でも、永ちゃんが歌ってからは一気に身近になった曲で、香港の飲み屋さんでこれを歌ったらモテルかなとも思っておりました。
書き始めから話が脱線しましたが、リンダはこの「星に願いを」を1曲目に歌っております。力み過ぎの感もありますが、心温まる出来になってますね。「マイ・ファニー・バレンタイン」では、物語を思い浮かばせる歌でありました。またタイトル曲はダイナ・ショアのヒット曲らしいですが、あまり馴染みのない曲。リンダは明るい雰囲気の中で、恋のせつなさを表現しております。伸びの良い高音がリンダの特徴ですが、微かな色気と歌唱力が魅力ですね。もう少し抑え気味で歌ってくれればとの思いも抱きながら、最後の「ラウンド・ミッドナイト」を聴き終えた1枚でありました。
最後にまた余談ですが、「星に願いを」を歌える飲み屋さんは、香港ではまだ出会っておりません。いつか、歌いたいのですけどね。