ヴィレッジとはマンハッタンのグリニッチ・ヴィレッジのことで、そこは1950年代後半からフォーク・ミュージックやジャズ,そして演劇のメッカになっていたところだ。ニーナが1959年秋のタウン・ホールでのコンサートで大成功を収めると、世間での人気歌手になったのと同時に、ヴィレッジの女王と呼ばれだしたそうだ。この地に集まってくる芸術を解するインテリ達から、高い支持を集めたのだ。
このヴィレジにあるライブ・スポットとしては、ジャズではヴィレッジ・バンガードが有名である。一方、フォーク派からはヴィレッジ・ヴィレジ・ゲイトが高い支持を集めていた。そこはジャズも取り上げるところであり、流行を反映したスポットなのだ。ジャズでもホレス・シルバーを始めとして、このヴィレジ・ゲイトでのライブ盤を残しており、フォークではディランやバエズがここから巣立っていったのだ。
タウン・ホール以降のニーナはライヴ・ハウスではあまり演奏をしなかったらしいが、このヴィレジ・ゲイトのオーナーのアート・ドゥルゴフとニーナは懇意らしく、大スター・ニーナのライヴが実現したのである。
ピアノ・トリオの定番曲「ジャスト・イン・タイム」は、ぶっ壊すピアノでスタート。その後、ストレートな歌い方とピアノに変身し、徐々に感情の高ぶりをみせていく内容です。
ヴォーカリストの定番曲「ヒー・ワズ・トゥー・グッド・トゥー・ミー」では、しっとりと歌い上げるバラッドを聴かせてくれてます。ディランやアニマルズで有名な「朝日のあたる家」では、影のある歌い方が印象的。
「バイ・バイ・ブラックバード」は、ピアニスト・ニーナの8分間。点と点のつながりが、流れるような空間を描き出しています。
このように様々な顔のニーナが続けて登場する全8曲が聴ける、素敵な作品であります。