クレオ・レーンが6曲歌い、タビー・ヘイズが3曲演奏している作品です。お互いに共演している訳ではないので、余ったテープの寄せ集め盤と考えてしまうのは、無理のないことだと思います。
しかし、クレジットを眺めてみると、少し事情が違う。これは、1961年3月31日にロンドンのパラディウム劇場でのライブ録音であります。この二人以外の出演者がいたかは不明ですし、レーンとヘイズがどの順番に登場したかも不明です。
聴き所としては、この時代にロンドンの劇場で行われていたジャズ・コンサートの雰囲気を感じ取ることでしょうかね。因みに曲数はレーンの圧勝ですが、その演奏時間は同じであります。というか、オリジナル盤では、オーケストラをバックにしたレーンがA面,シャノンのピアノを伴ってのクァルテットで演奏したヘイズがB面に収められております。
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クレオ・レーンと言えば「シェイクスピア・ジャズ」が有名盤ですが、その3年前の録音にあたる本番でも、正統黒人女性歌手の実力を存分に発揮しております。ホールでのライブなのかは別にしてアップ・テンポの曲を中心としていますが、白眉は「ラウンド・ミッドナイト」でしょう。素晴らしい表現力です。
一方のヘイズは、ワン・ホーンでぐいぐい押す迫力を、パーカーの「アー・リュー・チャ」と、最後の「オール・メンバーズ」で聴かせております。スロー・ナンバーの「ヤング・アンド・フーリッシュ」では、これまたお得意のヴァイブを披露しておりますが、僕としてはテナー・サックスで聴きたかったですね。
1000人ほど思われる観衆が、金曜日の夜を楽しく過ごしたのが、手に取るように分かる内容でした。