不正確ですが、この年にテテはリーダー作を6枚吹き込んでおり、彼にとって最も多作だった年と言えます。ブルースを曲名に入れた自作曲を4つテテは、この作品のために用意致しました。Eric Peter(b)とPeer Wyboris(d)とのトリオ作品です。
その4つのテテ自作ブルースとは Blues For Corien, Myself, Llorach, Coltrane である。分からないのは、Corien と Llorach でありますね。ネットで検索したところ、両方ともジャズに関連する人物はヒットしませんでした。
これは簡単に追求を諦めて、その演奏内容に触れましょう。
先ずは、さして印象深い曲ではないのだ。どこにでもあるような、軽快なナンバー。そして演奏なのですが、他に取り上げているスタンダード「It could happen to you」と比べてみた場合、実にあっさりした演奏なのである。しかし、この2要素が揃いながら、十分に聴かせる内容なのだ。まるでテテの4人(テテ自身も入れてだが)への想いが、漂っているようだ。これは、この時期のテテの充実振りがなせる技であろう。
彼の詳細なディスコグラフィがweb上で見つからなかったのであるが、それがあるならば、1970年代半ばにテテが優れた作品を何枚も残しているのが、一目瞭然になるはずだ。
絶好調テテの底力を、気軽なこの1枚に凝縮されている。