レコーディング自他は1950年代半ばから行っていたテテですが、世界に向けて発売出来得るレーベルという意味では、本作品が初になるようです。
「ヌリアに捧げるピアノ」というアルバム名で、1曲目には「ヌリアに捧げるブルース」というテテ作の曲が収録されています。ヌリアとは、恐らく「Tete Montoliu with Nuria Feliu and Booker Ervin 」という1965年吹き込みの作品で共演した歌手のことなのでしょう。
Peter Trunk(b),Al 'Tootie'Heath(d)との録音です。
モンキッシュとは、どういう意味なのでしょうか。国内盤で持っており瀧口さんが解説を書いていて、「ヌリアに捧げるブルース」の演奏をこう評している。モンクっぽいってことか思いながら、演奏を聴いて一人納得して、この疑問を一先ず封印。
踏み込みの良いブルースで好演なのですが、女性に捧げたものとは思えませんでした。
気に入ったのが、ソロで演奏された「I surrender, dear」です。ピアノの特徴と機能を最大限に活かした演奏で、女性を思う切なさが、痛いほど伝わってくる快演です。
そう思いながら、この曲名の日本語訳を考えていました。ジャズ批評108号には「無理をして、気のない振りをするが、もうだめだ! 意地を張るのも愛するが故。許してくれ(降参だ)、愛する人よ」と詩を訳しており、最後が曲名部分。これで間違いないのだろうけど、もっとグッとくる日本語があるはずだ。しかし、思いはするが、言葉にして出てこない。
こんなじれったさで、聴き終えました。