2004年6月20日掲載
Zoot Sims                           In Paris
Ducretet Thomson原盤     1956年3月録音

 ズートにとっての3回目のパリ訪問は、1956年のマリガン・セクステットのメンバーとしてのものだった。その際に、内職として吹き込まれたのが、本作品である。メンバーは、マリガン・セクステットからジョン・アードレイ(tp)が内職参加しており、ピアノには内職をアレンジしたアンリ・ルノーが参加している。

20040620

 誰もが絶賛するズートの名盤に対して、決めのフレーズで感想を述べようと考えているのですが、なかなか思い浮かばない歯痒さを感じております。ならば、webページ上から決めのフレーズを頂戴しようと幾つものページを読んだけれど、どのページにも華のある表現はありませんでした。

 こう書きながら思ったことですが、ズートの演奏と言うのは、普段着姿なのに決めのフレーズを連発しているのが、魅力なのではないのかな。

 さて1991年にCD化された盤を持っているのですが、ここには4曲追加収録されているのです。本編は3月16日録音ですが、そのリハーサルを前日に行っており、そのリハでの4曲です。本編よりは長尺な演奏であるのですが、ズートの演奏は軽く仕上げているだけのもの。

 この差を聴いていて、本編でのズートの姿は、本当の意味での普段着ではなく、決めに行った姿であることを実感しました。纏まり無き文章ですが、アップ・テンポからスローまで、素晴らしいテナー演奏を堪能出来るものであります。

 余談になりますが、webページ上でこの作品が語られる際には、「内職」話が出てくるのです。この作品は、1977年に東芝EMIより発売され、1991年に同じく東芝EMIからCD化されました。「内職」話はそのCDに封入されている、斉木氏の解説話に登場する例え話です。

 勝手な想像ですが、フュージョン全盛の1977年には余り売れずに、この作品を持っている方々は私同様に1991年のCD化で入手したのでしょうね。