「A Prayer Before Dawn」でクァルテットでのバラッド集と書きましたが、それは1990年に「welcome to love」という作品で実現されました。その作品は、CD収納ケースに埋もれているので、後日ここで取り上げることに致します。
今回のはそれから2年後の録音であり、またまた日本製作盤。編成は、William Henderson(p)を中心にしたクァルテットであり、CD2枚組です。さて、ヴィーナス盤でこれをお持ちの方も多いと思いますが、僕のは今回買ったEvidence盤で、デザインが全く違っております。
ここまでコルトレーンだと流石との声もあるだろうけど、やはりファラオらしさを聴きたいものだ。それを感じなかったのは、今日の聴く側の調子だけではあるまい。
さて、そんな中でピアノのウイリアム・ヘンダーソンが、気軽に明るくいかないと弾き始めた曲がある。ファラオも見事にそれに呼応し、表面上は軽快に、奥には魂が宿っている演奏を行っている。それは「Light At The Edge Of The World」という曲であり、ピエロ・ピッチオーニ作のものだ。
この曲に出会えた喜びから、webからこの曲に関する情報を得ようと試みたが、直接的なものは得られなかった。いくつかの断片情報を提示しよう。
「Light At The Edge Of The World」とは、人類学者であり探検家としても知られるウェイド・デービスが、25年間もの探検旅行を集大成した書物なのだ。さらにイタリア映画音楽界の巨匠ピエロ・ピッチオーニが関わった映画の中に、「IL FARO IN CAPO AL MONDO」というのがあり、この副題が「Light At The Edge Of The World」なのだ。日本未公開のこの映画自体の情報は得られなかった、恐らくは世界中を探検している中で、真の人間の幸せを発見できたような場面で使われた曲ではないだろうか。
この1曲で、この盤の価値があるというのが、今の僕の素直な気持ちだ。