ヴォルフガング・ダウナーは1935年ドイツ生まれのピアニストですが、その経歴は実に多彩なもの。5歳でピアノを始め、1950年代後半にデビュー。1960年代初期からヨキ・フロイトのバンドに加わり活躍。その間に、自分のトリオを結成し、好評を博したそうです。オーソドックスな演奏からフリーの要素を入れたスリリングな演奏まで行っていたのが、これが吹き込まれた時期までのダウナーの活動でありました。
初期の彼のトリオから参加しているEberhard Weber(b)とRoland Wittich(d)との録音であります。
ジャズを陽気に楽しませる1枚でありながら、奥の深さも見せる1枚。奥が深いが、深くし過ぎて考え込む作品が散見される欧州盤の中にあって、この明るさは貴重なもの。エレクトリック・ベースの使用や高域の録音など言いたいことはあるのだが、そんなことを吹き飛ばす陽気さが堪らない1枚です。
ダウナーはこの後、TVショーで人気を博したり、映画音楽を手がけたり、はたまた子供オペラまで行っていたとのこと。そんな懐の深さを予感させる1枚であります。