ホニ・ゴードンという歌手はジャズ・ファンの間では殆ど知られておらず、リーダー作はプレスティッジに吹き込んだこの作品だけであります。しかしレコーディングとしては、ゴードンズとしてのものが残されています。
このゴードンズとは、ホニを中心メンバーとして、彼女の兄弟と父親が参加しているもコーラス・グループだそうです。このグループは、ミンガスの参加を得て彼のデビュー・レーベルから作品を発表しており、ほかにもいくつかのレコーディングを残しております。
さてホニのリーダー作品であるこのプレスティッジ盤ですが、ミンガス作の「ストローリン」が収録されておりまして、グループ活動の際の影響が伺えます。マルチ・リード奏者のケン・マッキンタイアーとピアニストのジャッキー・バイアードを中心としたクィンテットが、バックを務めている作品であります。
綿が部屋の中を漂っている雰囲気の歌声で、掴み所に苦労する。こんなところが、玄人筋からは評価されたが、一般受けしなかった原因かな。
マッキンタイアーとバイアードの演奏が、進むべき道を模索していた環境であったジャズ・マンの姿を見せていて、聴き所ありの内容でした。