2004年2月18日掲載
Betty Roche       Lightly and Politely
Prestige原盤     1961年1月録音

 「singin' & swingin'」の好評から、その半年後に吹き込まれたのが、本作品であります。

 ロシュさんは1920年1月生まれですから、この録音の時は41歳ということになり、円熟期と言えるでしょう。19歳の時にアポロ劇場のアマチュア・コンテストで優勝してプロ入りという黄金コースを歩んだ彼女にとっては、一時の低迷期があったものの、ここまで順調な歌手人生と言えるのでしょうね。スタンダード10曲を、ギター入りクァルテットをバックに歌っている作品です。

20040218

 「ジム」というスタンダードを意識して聴いたのは初めてでしたが、爽やかなロシュの歌声でしっかりと歌い込まれたこのバラッドに聴き入りました。♪I'll go on carrying a touch for Jim というサビのフレーズ一つで、存在意義のある本アルバムと言えます。

 勿論他の曲も、効果的なギター演奏も加わって、高音域重視と低音域重視とで大きく雰囲気を変える彼女の歌い方によって、輝いて響き渡っております。エリントン作の「ロックス・イン・マイ・ベッド」と「ジャスト・スクィーズ・ミー」を取り上げており、彼女の表現力の豊かさにも驚かされます。

 「ジャズ人名辞典」によれば、このように好盤をプレスティッジに残した彼女は、この後数年経って引退したとのこと。しかし、岩浪さんによれば、1970年代の終わりか1980年代の始めに彼女のライブを観たとのこと。

 目立たないがしっかりと活動していたということでしょうかね。