2004年10月2日掲載
Scott Hamilton & Harry Allen    Heavy Juice
Concord原盤                               2004年2月録音

 香港の金鐘という地区は、日本で行ったら丸の内。この金鐘にある日系銀行に打ち合わせに行き、その帰りに寄ったのが、香港唱片というレコード屋さんでした。バスケット・コートほどのお店の広さですが、ジャズ・コーナーは僅かなもの。昔(1993年頃)も何度か行ったことのある店でしたが、今回寄ってみてジャズの品揃えの面白さに驚きました。4枚買ったのですが、先ずは在庫してあって当然と思う作品から取り上げます。

 スコット・ハミルトンとハリー・アレンという、そこそこ知名度があるテナー・サックス奏者の共演盤であります。僕はこの二人の作品を持っておりません。この二人の演奏を初めて聴くことになります。ハミルトンは僕がジャズを聴き始めた1980年代初頭に、若手ミュージュシャンとして、新譜を続けて発表していた記憶があります。1976年にNYに出てきて、その当時26歳とのことですから、今は50歳とういうことになります。一方のアレンは、ここ数年のSJでよくその名前を目にします。1966年生まれですから、現在は38歳ですね。さて問題は、僕が両者の演奏スタイルの違いを分からないことであります。クィンテット編成の作品です。

20041002

先頭に収録されているタイトル曲での先発のテナーは、キリッとしまった音色で、線は細いが豊かなフレーズが特徴。後発のテナーは、サブトーンを活かした音色で、濃くは無いがグイグイ押し出すスタイル。感では、前者がアレンで、後者がハミルトン。理由はというと、前者は綺麗に着飾った演奏に聴こえたし、後者はジャズ界の修羅場を切り抜けてきた存在感があったからです。

 さてアルバム全体の印象ですが、何でもベン・ウエブスターに捧げている作品らしく、そこら辺を感じさせるもの。と言うより、無難で安心して聴けるジャズと言ったものでした。テナー・バトルというよりは、仲良しテナー仲間演奏と言った内容でした。バトル名曲「blues up and down」でさえ、そんな感じ。

 面白かったのは、勝手にアレンと思った方が、勝手にハミルトンと思った方に、徐々にスタイルを近づけていったとこでしょうかね。