2004年10月1日掲載
Blossom Dearie       Blossom Dearie
Verve原盤                   1956年9月録音

 僕がこの盤を購入した1989年前後に、結構な枚数の女性ヴォーカルを買ったのです。理由は2つあります。先ずこの時期は、CD発売枚数がLPのそれを抜いて数年経った時期であり、国内各社共に女性ヴォーカル作品を盛んにCD化しておりました。もう一つは、ジャズを聴き始めて数年間はヴォーカルには興味を持っていなかった僕が、この時期辺りからヴォーカル作品を聞き始めたからです。

 そんな時期に買った盤の一つが、このブロッサム・デアリーさんの作品です。このコーナーで彼女を取り上げるのは初なので、簡単にその経歴を。

 1926年にNYに生まれた彼女は、ハーマン楽団のコーラス・グループで活躍した後、1952年に渡仏。アニー・ロスとブルー・スターズを結成し、有名な存在になりました。1956年以降はアメリカとヨーロッパを往復しながら活躍しておりましたが、レコーディングはヴァーヴと契約を結び、そこでの第一作が本作品であります。ピアノ弾語りの彼女を支えているのは、ハーブ・エリス(g),レイ・ブラウン(b),ジョー・ジョーンズであります。

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 少女系歌声が魅力的なのですが、まだ歌に固さが残っております。特にアップ・テンポ系の曲では、顕著にそれを感じました。その中でスロー・ナンバーの数曲で、上手く歌っているのがあります。特にフランス語で歌った「春の如く」が、成功例でしょう。

 また歌無し、つまりデアリーさんがピアノ演奏に徹したのが「モア・ザン・ユー・ノウ」ですが、のったりした演奏で感心できるものではありませんでした。