2004年1月15日掲載
Fritz Pauer      Live At The Berlin Jazz Galerie
MPS原盤      1970年1月録音

 11月末の帰国の際に、いつもの通り渋谷ジャロさんを訪問し、MPSからのCD復刻シリーズに巡り合いました。購入したのは6枚であり、どの盤にもオーストリアの人気ピアニストである、フリッツ・パウアーが参加しております。最初に彼のリーダー作を2つ紹介しますが、その前にパウアーに関して少し触れておきましょう。

 1943年にウィーンに生まれた彼は、1960年代初頭に自己のグループを結成すると共に、ゴードンやファーマー等の当時欧州で活動していたアメリカの有名ジャズ・マンとの共演を繰り広げました。彼の名が大きく高まったのは、1966年にウィーンで行われたグルダ主宰の第1回国際モダン・ジャズ・コンペティションのピアノ部門での優勝でした。2位はヤン・ハマーであったことが、パウアーのレベルの高さを物語っているでしょう。

 ライトタッチのスインギーなピアノで人気を集めた彼が、その方向性を変えたのが、本作品。Jimmy Woods(b)とBilly Brooks(d)との、トリオ作品です。

20040115

 クレジット上では4曲目と5曲目になっているが、Part1 Gratuliere, Part2 Gentle Eyes, Part3 Modal Forces との3部構成の組曲である。

 パート1でのアクション・コメディ映画のスピード感,パート2での恋愛映画の哀愁,パート3でのサスペンス映画でのスリル感が、実に良く表現されております。

 今までのライトタッチのスインギーなピアノ・スタイルから、マッコイを彷彿とさせるモード奏法でシャープに弾きまくる姿を示したと、「ヨーロッパ・ディスク1800」に書かれておりますが、それに頷ける演奏内容でありました。