「ミンガス5」を取上げた時に書いたのだが、ミンガスは1962年にエリントンとローチと共にピアノ・トリオ作品を吹き込んでいるのだが、それはエリントンのリーダー・セッション。
数あるミンガスのリーダー・セッションの中でピアノ・トリオ作品は、このハンプトン・ホースを起用した作品だけであります。
ホースと言えば、日本駐留時代の話が秋吉敏子や今は亡きちぐさのマスター等との交流を通して多くが語られております。その後アメリカに戻ってからのホースはコンテンポラリーに数々の作品を残し、この録音時点は正に彼の絶頂期と言えておりますね。
ドラムにミンガスの盟友リッチモンドを迎え、スタンダードを吹き込んでいる本作品ですが、やはり聴き所はミンガスがリーダーということでホースのピアノがどんな輝きを示すかでしょう。
プロデューサー,アレンジャーとしてのミンガスらしさが発揮されている演奏もありますが、この作品の骨格はミンガス骨太ベースとホースのブルース・ピアノの一騎打ちであります。しかも、最もミンガスのベースに酔いしれた「言い出しかねて」では、ホースがスロー・バラッドを珍しく(?)渋く決めております。
しかし既に麻薬が手放せなくなっていたホース。演奏活動から暫く遠ざかってしまうまで、秒読み段階に入っておりました。