1960年代後半から活躍しているジョン・サーマンには、以前から感心を持っておりました。初期の作品が、渋谷ジャロさんのオリジナル盤コーナーで頻雑に取引されておりましたからね。しかしながら欧州モノにさほど興味を持っていなかった時期であったため、結局購入しないままになっていたのです。
ECMには1979年から吹き込みを始めたサーマンさんですが、ECM期の作品についての評価は如何なものなのでしょうかね。旺角のCD屋でこの作品を購入したポイントは、サーマンも1枚位買っとくか気分と共に、ジョン・テーラーの参加です。今の僕にとっては以前取上げたECMテーラー作品に夢中だからです。まぁ、テーラーさんがこの作品ではピアノではなくオルガンを弾いているのが躊躇した点なのですが、買った今では、ブックレットに写っている教会の写真に嫌な予感を抱いております。
二人の他には、Salisbury Festival Chorus なるものが加わっている作品です。
教会での演奏と聞いて想像する通りの内容ですね。テイラーのピアノで教会風の下地を作り、10人ほどのコーラスでワーグナーのような色を加える。まぁ、ワーグナーをじっくり聴いたことは無いですけどね。そこに、サーマンがバリトン&ソプラノ・サックスで、ドラマを描く。僕の興味が移らなかったのは、サーマンがバックの2色に完全同化した演奏になっていること。ぶち破って欲しかった。
ロックで言えばプログレなんだけど、今でも聴かれているプログレにはドラマがあるよね。このサーマンにはドラマがないんだ。
しかしこれは「十字を切る」という言葉が実感できない非キリスト教徒の感想なのかな。