2003年8月10日掲載
Trudy Desmond     My One And Only
Justin Time原盤    1997年12月録音

 ネット上からはこのデスモンドさんに関する情報は、殆ど得られなかった。コンボをバックにしたガーシュイン集です。

20030810

 10代のときに聴いていたロック・ポップスを曲で考えた場合、今聴いても懐かしさではなく純粋にその曲の良さを味わえるのは、実に数少ないものだ。たまたま好きなミュージシャンは今でも現役であり、聴き続けているのだが、やはり永久のメロディを書いている。オリジナルティを強く感じるのだ。そのミュージシャンの顔が見えるメロディであるのだが、クセが強いということではない。この辺は表現が難しいが、時代を超えて残るメロディとは、やはり単なるヒットメーカーには書けないものだと思う。

 この盤のガーシュインしかり。

 僕が最近ネタ本としてよく使っているSJ「20世紀ジャズ名曲大事典」によれば、ガーシュインの魅力は「クラシック志向の大作と、小粋でセンチな小唄」となっているが、今この本を読んでいて驚いたことがある。

 そこにはガーシュインのBEST10が選ばれているが、今回取上げているデスモンドさんが歌っている13曲とは、2曲しか一致していない。しかし、デスモンドさんのガーシュイン集を聴いている最中には、どの曲も馴染み親しんだ曲であったのだ。つまり、それだけガーシュインはスタンダードになった曲を作ったということなのだ。

 優しさ溢れる彼女の歌声は実に素敵なものであるし、曲によるバックの使い方もお見事。数多あるガーシュイン集に、また魅力ある盤が加わったのだ。

 しかし、5年前の発売作品。僕が知るのが遅かっただけかな。