このフランシス所有パウエル秘蔵集の発売内容が代理店から通知された渋谷ジャロさんでは、予約開始の告知が張り出された。大方のジャズ作品は全て限定盤といっていいのだが、特にこのパウエル集のLPボックスは直ぐに売り切れが予想されるものであった。
さて僕はどうしたかと言えば、二の足を踏んでおりました。有名どころを7~8枚持っていればパウエルは充分だとの思いもあったし、10枚それぞれの内容は発表されていなかったし、20代後半ということで遊びに金がかかっていたし、あれやこれやの思いで予約告知を眺めていたのだ。
さて、この第5集。パリのジャズ・クラブ「ブルー・ノート」でのライブが中心に、6セッション10曲が収録されている。その演奏時間からすると、この第5集のメインは1961年1月のブルー・ノートでのライブ、3曲で34分である。メンバーは、Pierre Michelot(b),Kenny Clarke(d),Zoot Sims(ts)である。
メンバー的にも時期的にも期待したのですが、パウエルは調子が悪い。
シムズも釣られて、投げやりなテナー。録音の経緯は別にして、正式なライブ録音だったとしたら、この当時は発売に至らなかったでしょう。
ジャケットのパウエルの表情は如何様にも解釈できるのであるが、演奏を聴き終えた今でも、苦悶なのか諦めなのか分かりませんね。