ポール・スミスがエラの歌伴を始める前年に吹き込まれた本番は、ハロルド・アーレン集です。アーレンと言って誰もが思い出す曲は、「虹の彼方に」であり、「降っても晴れても」であり、「絶体絶命」であり、「イッツ・オンリー・ペイパー・ムーン」であろう。しかし、アーレ不思議、この盤にには大有名曲が一つも入ってない。気付いてジャケを見れば、「Saratoga Trunk」という映画に用いられた曲を集めたものらしいのだ。それならそれで、アーレンの知る人ぞ知るってな曲に巡り合えるかもしれないという、楽しみが出てきます。
さり気ない派手さが魅力で時折ポール・スミスのネクタイ等を買っているが、こちらのポール・スミスさんも同様の魅力。また、アーレンの曲は佳曲揃いで、これまた楽しみめるもの。
4年前にCD化された本作品は、ジャズ・ファンの間でほとんど話題に上らなかったと記憶しているが、捨て難い魅力を備えた良い盤ですよ。1970年代に自主レーベルに数多くの作品を吹きこんでいるスミスなのですが、それらが気軽に買える状態であることを願って止みません。