ジョージ・アダムス,ジェイムス・血・ウルマー,シローン(b)がフェランクスというユニットを構成しており、この録音にはラシッド・アリが加わっている。購入当時の記憶が曖昧になってきているが、贔屓のアダムスがウルマーと組んだことだけで万々歳で買った記憶がある。
もう少しこのユニット結成の経緯を書きたいと思い杉山氏が書いた解説を読み始めたが、小難しい文章で断念。55分に及ぶ演奏を久しぶりに楽しみます。
前にも書いたが、1970年代のジャズ・シーンについては、語られることがない。フュージョン全盛時代であるのだが、マイナー・レーベル(自主制作に近いもの)では真摯な活動が行われていた。しかし、それらを時代体験として真摯に聴いていた人が実に少ないということになる。
では1980年代はと言うと、終わってから10年をとうに過ぎたのに未だに語られるのは、SJが勝手に名付けた新伝承派だけのようである。
話をこの盤に戻すと、アダムスとウルマーのみならず、ベースとドラムが加わって、刺激的な演奏が聴き取れる。ファンクの衣装を着ながらも、ジャズの伝統から出発して1970年代を燃焼してきた人間のみに許される演奏である。
1980年代のジャズ作品の、一つの象徴と言える。