ベース奏者としてのミンガスの力強い演奏も実に素晴らしいものであるが、真のミンガスの魅力は大編成のグループを率いたときのリーダーとしての仕事振りであろう。ドルフィ,テッド・カーソン,ジミー・ネッパー,クラーク・テリーなどのこの時期に勢いのあるミュージシャンを多数率いてのこの作品は、ミンガスの腕を引き立てさせるお膳立て完璧に整っているものと、言えるのではないか。
タイトルの「プリ・バード」とはパーカー以前の、つまりビ・バップ以前のことであり、国内盤に解説を書いている青木和富氏はエリントン時代を指しているコメントしている。
「A列車で行こう」からスタートする作品である。
クレジットされていないが、数曲に女性歌手が参加している。ベースの唸りとホーンの重なりに、女性ヴォーカルが怪しい魅力で絡んでいる「weird nightmare」が良かったですな。
大上段に構えた作品でないので、ミンガス作品の中で表に出ることが少ない作品であるが、気軽に聴けて徐々に魅力が大きくなる作品ですね。