ケニー・バレルが1950年代に吹き込んだライブ盤と言えば、ブルー・ノートの「5スポットのケニー・バレル」が有名ですね。レーベル自体の人気により、そして常に入手出来る状態であったため、5スポットを持っている方は多いでしょう。かたや、このアーゴ盤。権利の問題で常に入手出来る状態で無かったことも手伝って、名盤とは言われながら、さほど聴かれている盤ではないでしょう。
以前LPで再発された時は何故か買わなかったこの作品、ベースとドラム相手というシンプルな構成のため、嫌ってしまったと記憶してます。
成田正さんの解説を引用すればバレルの特徴とは、「フレイジングは流麗で、過不足のないコード・ワーク。頻雑に使われるブルース・ペンタトニックやグリッサンドによる絶妙なフレーズも絶妙なアクセント」だそうだ。
楽器が分かっていれば、このような書き方も出来るのかと感心するとともに、表現できないじれったさでいる自分にはこのような説明に出会うと、ほっとすると同時に悔しさも感じますな。
「I'm a fool to want you」での静けさの中で、この奏法を駆使しながら、このバラッドを表現仕切っているのに痛く感心しました。
残念な点はですね、録音。バレルのギター音が小さい。ベースとギターに比べて、13m後ろで弾いている感じです。それ以外は、派手さを排していながら惹きつける魅力をもった素晴らしい作品と言えます。