2002年8月12日掲載
Joe Haider
A Magyar/The Hungarian/Die Ungarische
JHM原盤        2001年4月録音

 知らないミュージュシャンで64歳ならば、普通は買わない。精神と肉体の充実が要求される音楽の世界、64歳ならアタック力は衰えるし、朝飯だって何食べたか忘れているだろうしね。

 しかし本で読み気になって去年買ったのが、ピアニストのジョー・ハイダー。情景を見事に描く力量には、「お爺さんグレイト」と叫びたくなったよね。

 今日取上げる作品はその1年後に吹き込まれたもので、同メンバー。まさか1年で、急激な老化なんてないよね。

20020812

 タイトルの意味は、恐らくは民族的なことでしょう。分断された民族の悲しみと怒り、そして独立の喜び。勝手に解釈しましたが、タイトル曲ではこの解釈が正しいことを証明するような、心理描写の見事さを満喫出来ます。

 曲の良さ、演奏の良さ、トリオのコラボレーションが、様様な映像を聴く者の頭の中に映し出していくのが、実にお見事。その意味では、「tante nelly」でも同様ですな。「いつか王子様が」などのスタンダードも演奏されていますが、ハイダーのオリジナルである前述の2曲の方が良い出来に感じてしまいます。

 また曲自体は他に比べれば落ちる「friends」では、哀しいピアノのフレーズに、シンバルがジュワァーって響き、演奏面のみならずオーディオ的視点からも充分楽しめるものになっています。

 まさに「お爺さんグレイト」ですよ。