雑誌などで自分好みの紹介に触れると、欲しくて堪らなくなって来る心境は、音楽好きの方には頷いて頂けることでしょう。国内発売される作品を除けば、ポップスのようにFMで流れることがないジャズの場合は、買うしかないのだ。ジャネット・サイデルさんの歌を、可愛いらしい,ドリス・デイのような,ホット出来る・・・などと絶賛していたのは、asahi.comでの寺島氏であった。ことヴォーカルに関しては、氏の推薦盤は9割方当たりであるため、7月の帰国時の購入リストにサイデルさんの名前を記したのは当然のこと。で、ユニオン渋谷店。1枚でもあれば良いなと考えていたら、6枚もあるじゃないの。日本に住んでいれば、1枚買って気に入れば次々に買うのだが、年数回の買出し帰国時にしかジャズ盤を買えない僕の場合は、店先で悩みに悩んだ。1枚2400円ほどだしな。ジャケに写る顔は若くないし、決して美形ではないしね。しかし、良さそうな予感は、考えれば考えるほど高まっていく。今回を逃したら、買出し帰国は半年先なので、その時には在庫無しと考えるのが、ジャズの常識。意を決してレジに運んだのは、4枚でした。6枚全てではないのが、少し気弱だったかな。真っ先に取り上げるのは、asahi.comに掲載されていたのこの盤です。
丸みがある歌声で、高音でややかすれ、低音に色気あり。まぁ、これだけで買って正解だったと言えるでしょうね。バックは、ギターかサックス入りのクァルテットを基本に、数曲でストリングスが邪魔にならない程度に控えめに入ってます。コンボ・バックと言えるので、これまた大正解。
さて曲なのですが、ジュリー・ロンドンので好きな「lonesome road」、アストラッド・ジルベルトでお馴染みの「agua de beber」、アン・バートンのが良かった「skylark」というように僕の頭にインプットされている各曲の代表歌手にサイデルさんの名前が加わる出来になっています。
最も彼女が意識しているのは、ブックレットによればドリス・デイだとか。「perhaps」や「they say it's wonderful」を素敵に歌っていますが、ドリスの可愛らしさよりは色気多しという感じですね。ドリス愛唱歌の代表と言える「sentimental journey」が最後に用意されているのですが、サイデルさんは恐らく何千回とこの曲を歌ってきたのではないでしょうか。様々な表現手法を駆使しながらも、心に残る歌になっています。
他にもラテン系の曲を積極的に取り上げており、女性ヴォーカル・ファンには持って来いの1枚でしょう。