ピアノ・トリオ好き、特に欧州もの好きにとっては、このアントワーヌ・エルヴェさんは以前から定番のお一人だったようですが、僕はこの澤野盤が初体験になります。
1959年フランス生まれの彼は幼少よりピアノを学び、10代からその才能を発揮し、1980年代からビッグ・バンドや現代音楽アサンブル、はたまたダンスや映画音楽の分野でもその才能を発揮していたそうです。フランソワ・ムータン(b),ルイ・ムータン(d)と組んでのこのピアノ・トリオ作品では、超有名スタンダード7曲で臨んだものです。
7曲は全てエヴァンスに因んだものだそうですが、サマータイムのエヴァンスを思い出せなく、じれったい思いでいます。で、エルヴェさんのサマー・タイム。重厚な思い込みを入れずに、やたらとサッパリしたブルースの雰囲気を聴けます。コルトレーンやエルヴィンの演奏が耳タコの僕にしては、実に新鮮な気分でした。メロディの持味を素直に活かした演奏が他の6曲に聴けて、これはこれで満足できる1枚と言えます。