「モンク好きはニコルス好き」らしいが、確かに僕の場合、見事に言い当てている言葉です。ついでに言えば、「モンク好きニコルス好きは、エディ・コスタ好き」とも言えるでしょうかね。
1963年に白血病のため44歳で亡くなったニコルスは、生涯その独特のピアノ・スタイルのため、脚光を浴びることがありませんでした。リーダー作となると、サヴォイに7曲、その後の1955年にブルー・ノートに10吋2枚とLP1枚の録音があります。そのLP「ハービー・ニコルス・トリオ」が、日本で大人気のブルー・ノート1500番台ということで、その存在は有名ですね。
BNから2年後に吹き込まれた今日取り上げるピアノ・トリオは、ジョージ・デュヴィヴィエ(b),ダニー・リッチモンド(d)の協力を得て録音されたものです。
僕の大好きな「トゥー・クロス・フォー・コンフォート」は、明るく元気良く弾む曲。叩きつけるニコルスの弾き方に、ピッタリの曲ですな。この「叩きつける」ということを意識させるピアニストが少ないですね。言いかえれば、そのように意識する人が、「モンク好きはニコルス好き」になるのであろう。
デンジル・ベストというドラマーが作曲した「45度角」でのニコルスの曲の処理の仕方に感心していたら、唐突にドラムが突っ込んでくる。そこから、ピアノ・ドラム・ベースが入り乱れての8小節交換。如何にこの3人の息が合っているかが実感出きる内容ですよ。
この手の「叩きつける」ピアニスト、21世紀の現代に現れて欲しいと願っているのは、僕だけではないでしょうね。