2001年8月26日掲載
Frank Collett            perfectly frank
Fresh Sound原盤    1997年11月録音

 このフランク・コレットというピアノ弾き、どう見てもオッサンなのですが、「ピアノ・トリオ1600」では晩年のサラ・ヴォーンやシェリー・マンとの共演で知られているとの一言で、生年月日等の記載無し。「ジャズ・人名辞典」には全く記載無しでして、ベテランの割には無名に近い存在と言えるでしょう。

 さてこの作品について寺島本「新しいジャズを聴け!」では、「トプシー」のアドリブでのメロディアウスさを褒め称えております。Bob Magnusson(b),Joe LaBarbera(d)とのトリオ作品、スタンダードをタップリと揃えた選曲の中で、どんな旋律が飛び出して来るのでしょう。

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 寺島氏はこんなダサい服装のオッサンはNYを歩いていないと書いているが、映画で時折見かける服装だけどな。若い時からいろんなファッションに手を出し、気が付いたらこのファッションに落ち着いていたという雰囲気が出ているジャケ写ですね。

 演奏のほうも、今までのキャリアを全てぶつけたような、濃い内容です。

 僕はコルトレーンゆかりの2曲が気に入りました。

 コルトレーンの「ラッシュ・ライフ」と言えば、1958年のプレスティッジへの吹込みと、1963年のジョニー・ハートマンとのセッションでの、重厚なバラッド演奏が印象深いです。コレットさんのそれは、軽快ながら心の奥まで広がって行く演奏。

 コルトレーンが生涯通して8回演奏したことが記録されている「グッド・ベイト」ですが、正式発売されているのは1958年のソウルトレーンでの吹込みですね。上り調子のコルトレーンに対して、コレットさんは余裕がある明るく伸びやかなピアノを披露しています。

 全体を通して熟成したメロディを堪能出来る1枚であり、ストレイホーンの「パッション・フラワー」での、怪しげながら包容力のあるメロディに触れられたのも嬉しいし、ピアノ・ソロによるモンク・メドレーも、中々の出来。

 1990年代の名盤という寺島氏の見解は、言い当たってることを実感出来るだけの作品です。