ギル・メレさん、特異な印象で日本では敬遠されていますね。1954年のニューポート・ジャズ・フェスティバルで脚光浴びた彼ですが、ブルー・ノートの5000番台に数枚の作品を吹き込んでおり、その音楽性は高い物だったのでしょう。BNの1500番台にも「パターンズ・イン・ジャズ」という作品を残していますが、日本で大人気の1500番台でも、異質な存在として日本で扱われていますね。
そのBNから半年後に吹き込まれたこの作品は、Joe Cinderella(g), Vinnie Burke(b), Edmind Thigpen(d)とのクァルテットに、ゲストを迎えて吹き込んだ2セッションが収録されています。最初のはArt Farmer(tp), Hal McKusick(as,fl), Julius Watkins(fh)を迎え入れて、3曲。もう一つはKenny Dorham(tp), Hal McKusick(as), Don Butterfield(tub)との、3曲です。
さてここでジャケを見ていただくと、Donald Byrd(tp) と Phil Woods(as)の文字に目が止まることでしょう。実は私の持っているCDは1990年にOJCから発売されたものなのですが、その際に1957年1月にこの二人を迎え入れてのセッションから3曲追加収録されました。ジャケもついでに変更したのでしょうね。
さてテナー・サックスも吹くギルですが、この作品ではバリトン・サックス1本で、3つのセッションを行なっております。追加を入れて全9曲、作曲者として名高いギルの手によるものです。
ファーマー入りセッションでの「soudan」、ディープなブルースでギルはブルース感覚に根ざしている方だと分かります。全編通じて少々強引とも思えるアレンジ手法でブルースを支配していくギルの個性が発揮されていますが、3つのセッションを通して、参加しているメンバーの違いが出ていない。ギルの個性がメンバーの個性を殺している感じになっております。
蛇足ですがJoe Cinderella は最後のセッションではヴァイブを弾いています。クレジットはあくまでギターですがね。とにかくこの作品、ギルの個性を知ることが出来る好盤と言えます。