ピート・ジョリーというピアニストは、僕の中では既に過去の人と思っています。また軽いタッチのピアニストという印象から、「食わず嫌い」までもいかなく、食う対象でもないと思っていたお方です。しかし、ユニオンの店頭では、昨今のピアノ・トリオ・ブームでの人気者のような掲示がしてあって、少し頭の中が混乱しております。当然ながらここで初めて取り上げるピート・ジョリー、簡単に経歴を。
1932年にコネチカット州に生まれた彼は、3歳の時にアコーディオン奏者の父からアコーディオンを習い、9歳でピアノを始めました。その後ローカル・バンドで活躍し、1952年にLAに移り、数多くのセッションに起用されました。また自身の作品も、RCA・MGM等の大会社に吹き込んでおります。暫くの休養期間を経て1980年に復帰作を発表し、注目を浴びたそうです。その意味では、この作品は復帰後から10年経ってからの、ピアノ・トリオになります。
「ピアノ1600」によれば、全体に軽めで激しいアドリブはないのが、大会社時代のジョリーのスタイルだとか。この時代の作品を聴いてない僕には何とも言えないのだが、今回取り上げた作品を聴いた限りではこの意味合いの部分は、彼の個性半分と大会社の意向半分半分であろう。明るく軽いタッチで演奏しながらも、温かい彼の心を感じさせるアドリブを適度に楽しめる作品です。大会社を離れて、自分自身を出せる録音環境になったのでしょうね。その意味では、今年の1月17日に取り上げたHerb Drury に通じますね。