僕は幼い頃から、頭の良い女の子に弱かったな。よくいじめていたので、好きでもあったんだろうな。このジュリ・アレン、見るからに才女って感じるのは、僕だけであろうかな。経歴をみてみれば、ハワード大学で音楽を専攻し、ピッツバーグ大学で民族音楽を研修し修士号を得たんだって。やっぱり、才女。1970年代をロフトのメンバーなどと活動した後に自己のトリオを結成し、1980年代半ばには欧州ツァーを大成功させたそうですね。その頃の彼女の名前は雑誌で度々目にしていましたが、何せ才女には敬遠でして。1980年代後半に活きの良かったJMTというレーベルからの発売ということと、チャーリー・ヘイデン(b),ポール・モチアン(d)という豪華なメンツでのピアノ・トリオってことで、購入した1枚です。
日本でもある役者が吹き出して有名になった楽器、ケーナ。Juan Lazaro Mendolas という方が、1曲だけこの作品で吹いています。南アメリカ大陸の風を感じられるこの楽器の音色をそのまま活かした演奏なのですが、アレンのピアノと違和感なく溶け込んでいるのに、少々驚きました。重い彼女のピアノの中に、違う一面が聴き取れる演奏でして、その意味では明るく振舞っている彼女のピアノが面白いパウエル作の「oblivion」を聴いていると、この辺りが彼女の本質なのかと感じた次第です。
でもこの作品、ここ一番の盛り上がりがないんだな。発売から10年以上経って、埋れて行ってる作品です。