ペナンに来て知った酒に、チンザノというのがあります。どこの国お酒かは失念しましたが、辛口の白ワインに独特の甘い香が加わった味。手頃な値段でして、愛飲しております。
さて今日の主役のジョー・チンダモ、ピアニストでございます。あっという間に人気レーベルになった澤野レーベルの中でも、メガ・ヒット作品にこれはなったそうです。オーストラリアの方で、年齢はジャケでみる限り30台前半。トリオ作品です。
仕事の関係で週に3回ほど、片道1時間の運転を行なっている。流れるカーラジオでここ数ヶ月よく耳にする曲名が最近分かったのだが、それはエンヤのオンリー・タイム。ここ数年よく耳にする「癒し」音楽とは、こういう曲を指すのだろうと思いながら、この曲が流れると煙草に火をつけて眠気を追っ払っている自分である。「癒し」と言えば、最近ジャズにもそれを求める方が多いとか。ジャズというのは、聴き終わった後に、興奮している自分に気付くのが良い演奏と思っている自分にとっては、何かピンと来ない現象ではある。
で、チンダモのこの作品、「癒し」を求めている人に買われてヒットしたとの話がある。綺麗なメロディのスタンダードを、心地よい演奏で聴かせているのだから、ある意味うなずける。でも、ここでのチンダモの演奏の奥には、情熱的な激しさが秘められている気になる。聴き応えある作品である。もう一感じたことだが、チンダモは1950年代のハード・バップ・ピアニストの熱気を持っている人ではなかろうか。あくまで予感ですがね。
綺麗さだけをエヴァンスから取り入れているタイプが多い最近の欧州ピアニストに少々食傷気味の僕には、今後の展開を期待出来るピアニストが登場したと喜んでいる。