1966年にコルトレーンのバンドを去ったエルヴィンは、自身のバンドを率いて活動していましたが、1968年にブルー・ノートと契約してからは、ピアノレス・トリオでの演奏を暫く行なっていました。盟友ジミー・ギャリソン(b)と共に選んだメンバーは、サド・メル楽団を辞したばかりのマルチ・リード奏者のジョー・ファレルです。
「驚くべきポリリズム」と、エルヴィンの演奏は呼ばれていたらしいですね。
空間を埋め尽くすドラムと、強烈なうねりのベースを聴いていると、コルトレーン黄金クァルテットでのこの二人の役割の大きさが、実感出来ます。二人が目指していた方向性とコルトレーンの方向性が一致していたからこそ、あれだけの結束力が保てたのでしょう。それと、コルトレーン風味のファレルのサックスも、自己主張していなく、エルヴィンとギャリソンの演奏に集中出来るので、これはこれで大正解ですな。
エルヴィンの諸作の中でも、彼自身の奥深くに触れられるという意味で、ピカイチの作品でしょう。