2001年3月24日掲載
Sonny Criss      Out of Nowhere
MUSE原盤      1975年10月録音

 芸術家に限らずそのピークというのは何度かあるもので、アルト奏者のソニー・クリスも、前回取り上げた時に書いたように1977年の来日1週間前の謎の自殺を遂げる前の数年が、3回目のそして最後の彼のピークでした。この作品以外にもこの時期、このレーベルに「クリス・クラフト」、ザナドゥに「サタデー・モーニング」という、日本人に深く愛されている作品を残しています。

 ワン・ホーン・クァルテットで吹き込んだ本作が、彼にとっての16枚目のリーダー作になります。

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 謎の自殺前にクリスに会った人の話だと、日本ではフュージョンを演奏しなくてイイと聞いて非常にクリスは喜んでいたらしい。この作品の後にインパルスと契約したクリスは、フュージョン作品を2枚いやいや吹き込んでいたこともあり、また人前での演奏もフュージョンばかりだった事から、自分の演奏したいことが出来る日本を楽しみにしていたのでしょうね。

 ジャズ作品としては最後の本作、激しさと繊細さが同居した見事な吹きっぷりです。