「パーカー直系のアルト奏者」、ソニー・クリスはよくそんな表現をされる奏者です。彼の絶頂期は、 「ゴーマン」等を吹き込んでいた1950年代後半、謎の自殺をとげた直前の1970年代前半、そして プレスティッジに8枚の作品を吹き込んでいた1960年代後半があげられるでしょう。そのプレス ティッジ時代の中でも人気が高いのが、この作品です。Hampton Hawes(p)、Monty Budwig(b)、Shelly Manne(d)とのクァルテット編成での吹込みです。
フレーズの豊さ、陽気さ、そしてその中に 潜む悲しさ。名奏者の名盤だけに、こんな点を存分に楽しめます。例えば、何気ないアップテンポ・ ブルース・ナンバーであるクリス作の“California Screamin'”。テーマ・メロディ自体はどーって ことない曲なのですが、上述のような圧倒的なクリスの演奏と、ピアノのホーズの好バッキングで、 キラキラ輝くものに仕上げています。ジャズの楽しさを存分に感じさせる盤であるという意味で、 ジャズ入門盤としても最適ですよね。