2001年3月22日掲載
Albert Ayler      Lorrach/Paris 1966
Hat Hut原盤       1966年11月録音

 アルバート・アイラーは1962年に最初のレコーディングを行なってから謎の死を遂げた1970年までの8年間に、計5回渡欧しております。この作品は、1966年の渡欧時のドイツとフランスでの演奏をとらえたまので、僕の記憶が正しければ1980年代に入ってから世に登場したものです。弟のペット吹きのドンと共に、現地のヴァイオリン・ベース・ドラムを入れての、変則クィンテットでの録音になります。ちなみにアイラーの録音歴からみると、「グリニッジ・ビレッジのアルバート・アイラー」を吹き込む直前の演奏になりますね。

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 アイラーの最初の渡欧は1958年、軍の音楽隊によるものでした。そこではマーチが主になっていたそうで、アイラーの曲想になっている懐かしいメロディは、この当時の経験によるものなのでしょう。それをスピリチュアルの極みまで昇華させていく彼の演奏スタイルは、正にオリジナルティの塊です。弟のトランペットがリード約を務めて、アイラーが魂を吹き込んでいく演奏です。録音状態は良いとは言えず、ドラムがかなりオフ。でもそんなことは気にさせず、ドイツでの陽気な振る舞い、1週間後のフランスでは観念的なスタイルでの演奏を、余す事無くとらえた作品です。