ラリー・ポーターというピアニストは、大方のジャズ・ファンは聞いた覚えのある名前だが思い出せないって人が多いでしょうな。今回取り上げる作品は確か中古で買った作品です。ライナーを読んでみますと、クリーブランドに生まれた彼は6歳の時からピアノを始め、1973年にはドイツに移って活動していたそうです。その後アメリカとドイツを行き来しながら、いろんなミュージュシャンと活動を共にしていますね。メル・ルイス,カイ・ウェディング,サド・ジョーンズ,アル・コーン,チェット・ベイカー,アート・ファーマー,アーチー・シェップなどです。大物重宝されたピアノ、10曲中9曲がポーターのオリジナルです。
ほのかに香るブルース・フィーリングが彼の持味で、その辺りが様々なミュージュシャンから可愛がられた理由でしょうね。冒頭のタイトル曲がその意味での白眉で、右手から繰り出されるメロディは、トミ・フラにジュニア・マンスを入れてヨーロッパの空気で薄めたような感じ。微妙な味わいが堪らなく、また左手の実に抑え目なコードが色添えしています。その意味では薄め具合が弱く、ドップリ・ブルースの「homer blues」が平凡な出来になっているのが対照的でしたよ。去年国内盤で発売された際にオネーチャン・ジャケに差し替えられたのですが、オリジナル・ジャケのこちらの方が音楽内容に合っていますね。