ゲッツの最良の時代は、20歳頃の1940年代半ばから1950年代半ばにかけてのこというのが、定説のようですな。ボサノバ・ゲッツ、コンコード・年寄ゲッツを愛する方も多いようですが、定説ではこーなっています。アル・ヘイグ(p)との1949年6月の4曲と1950年1月の4曲、トニー・アレス(p)との1950年4月の3曲、計3回のセッション12曲で構成されている作品です。
「苦しみを夢にかくして」という邦題の曲、原題は「wrap your troubles in dreams」、良いよね。グット堪えて、周囲に対して、そして自分に明るく振舞っている姿が目に浮かぶようなメロディ。っていうか、演奏の力量でしょうね、このような気分にさせるのは。兎に角、この時代のゲッツは、一寸の隙間もなく歌心を放しています。気持ち良く聴いているのだが、演奏される側の人からすれば、恐ろしいほどの緊張感なのではないかな。思い存分に歌を楽しませてくれる名盤です。