ダイアナ・クラールの伴奏者としてのラッセル・マローンが気に入っており、彼のリーダー作を是非と思って買ったのが、紙ジャケで再発された本作品です。
封入されている解説によれば、彼が注目されるキッカケはハリー・コック・ジュニアのバンドに加入したからのことで、早速メジャーのCBSから契約の打診があったとのこと。またと無いチャンスなのですが、そこはメジャー。マローンの活動に様々な制約をつけていたらしいですね。1994年のCBSとの契約切れ以降、自由な形で彼は活動を始めていった訳ですが、ちょうどその頃がクラールと演奏し始めた時期かな。僕の好きなギタリストが、これまた好きなピアニストであるラリー・ウィリスと一緒に吹き込んだクァルテット作品。選曲も面白く、実に楽しみな1枚ですな。
軽快なシングルトーンでグイグイ迫る演奏は、実に爽快。マローンがかつて所属していたバンドの親分ジミー・スミスの「off the top」がその典型ですな。またモンク作の「four in one」の複雑なメロディー・ラインを、難なくこなしている辺りは、その技術の高さが伺えますよ。軽快なブルース・フィーリングが彼の持味と感じて聴き進むと、アレッと思うのでが、唯一のマローン作の「chitlin blues」。ど・ブルースです。彼の本音はどこにあるのかなと思いつつ、最後にギター・ソロで演奏されている「yesterday」での清らかさに胸打たれて聴き終えた1枚でした。