ジル・エキミアンと発音するようなので、このピアニストはフランス人のようですね。「ピアノ・トリオ1600」で取り上げらた作品で、それを読んで探している方も多かったようですが、フランスの弱小レーベルからの発売なので、みなさん苦労されていたようですね。そこに目を付けたのが、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの澤野商会。ここに復刻と相成りました。ベースもドラムも、もちろんエキミアンも全くの無名。8曲中6曲が彼のオリジナルという内容です。
ひたすら耽美的な磁力に、聴き始めた瞬間から引きずり込まれます。これはエキミアンのピアノと共に、Pierre Yves Sorin というベース奏者の、重量感溢れるコラボレーションによるとこ大です。また、エキミアン作のバラッドが演奏スタイルにピッタリ合っており、総合的に素晴らしいピアノ・トリオ作品と言えますね。少し残念なのが、マイルス作の「nardis」とシルバー作の「nica's dream」が入っていること。耳に馴染んだメロディが表れた途端に、このアルバムを支配している重量感に、薄く穴が空いたような気分になることですね。これだけの曲を書けるエキミアン、全て彼のオリジナルにして欲しかったな。