何でこれを新宿ユニオンの中古コーナーから引き抜いたのか、その時の自分の心理を不思議に思います。ジャケには魅力を感じたとは、思えないよな。バック・メンバーも知らないお方。曲も。チック・コリア,ミンガス,ホレス・シルバーなどの歌手が取り上げた例を知らないものが多く、普通なら意識過剰の作品と判断して、敬遠するのですがね。発売国を見たら、ポーランド。余計買わないはずですが買ってしまったこの盤、果たして中身は。
良いよ、これ。影のある女性が漂うハスキー・ヴォイスなんだ。
チック・コリアの「クリスタル・サイレンス」には怨念が感じられ、演歌の匂い。
ジョニ・ミッチェルが取り上げて話題になったことがあるミンガスの「グッバイ・ポーク・パイ・ハット」でのブルース感覚も、なかなか。
コルトレーンの演奏でお馴染みの「アフロ・ブルー」でのスピリチュアルな歌い方も、良いしね。
しかし極めつけは、ボサノバの名曲「ハウ・インセンシティブ」と、数々の人が歌った「ユー・ドント・ノウ・ウァット・ラブ・イズ」ですね。過去のある女の歌声に、聴き惚れます。期待していなかったのに良い内容だったので、誉め過ぎかもしれませんがね。
重厚な演奏を聴かせているJoachim Mencel(p)とAndrzej Cudzich(b)を更にフューチャーしてスタンダードを歌えば、名盤が出来るかもね。