2001年12月23日掲載
Max Bennett          Max Bennett
Bethlehem原盤     1955年12月録音

 ジャズ好きならベーシストのマックス・ベネットの名を知らない者はいないだろうが、彼の経歴について詳しい人は少ないのでは。では、いつもの「ジャズ人名辞典」から抜粋を。

 1928年生まれの彼はグッドマンやベンッチュラらとの共演を重ねた後の1954年にスタン・ケントン楽団に参加しました。西海岸を拠点に活動しながらサラやペギー・リー等の歌伴を務めたりして、1958年にはJATPのツアーに参加しました。その後も活発な活動を行いながら、1970年代に入るとスタジオ・ミュージュシャンとしての活動が主になったようです。

 この盤はケントン時代のもので、共演者もハーマンやケントン楽団にいた方が中心です。マリアーノ(tp),カール・フォンタナ(tb),マッケンナ(p),ルイス(d)という面々です。他にペットとバリトン・サックスが加わった4管編成での作品です。

20011223

 いろんな編成で演奏されています。全員参加の曲では、さすがビッグ・バンドで活躍しているメンツだけあって、軽快なフォーン・アンサンブルを気持ち良く楽しめます。

 小編成での演奏で光っているのは、トロンボーンのフォンタナ。ベニー・グッドマンでお馴染みの「I hadn't anyone 'yill you」ではスィング感、ゲッツの熱演で知られている「strike up the band」ではドライブ感、白人ホーン奏者がお気に入りの「polka dots and moonbeams」ではしっとり感を、フォンタナは吹き分けております。

 実はフォンタナさん、この「今日の1枚」コーナーで初めて新譜特集を行った時に取り上げたお方。その時の作品は70歳のフォンタナさんの演奏で、のっぺりした演奏だったのですが、このベツレヘム盤は27歳の時のもの。彼の絶頂期はやはり1950年代だったことを確認したと共に、味のあるトロンボーン奏者だったことを認識できる1枚です。

 さて、リーダーのベネットさん。実に堅実な演奏で、ミュージュシャンに慕われている理由が分かります。トリオで演奏されている「something to remember you by」で、骨太のベースを堪能できます。