2001年10月22日掲載
Marlene          Every Breath I Take
Savoy原盤     1955年11月録音

 今日取り上げるのはマーリーンさん。最初SJの別冊でこの作品を知った時、マリーンさんかと勘違いしてました。マリーンさんなら買うわけないのだが、ジャケは古びた感じ。何でも、サヴォイが200人オーデションした中から、選んだ方だとか。

 ジョー・ワイルダー(tp),ハンク・ジョーンズ(p),ウエンデル・マーシャル(b),ケニー・クラーク(d)という天下のサヴォイのハウス・ミュージュシャンを一同に揃えたバックで吹き込ませたということで、サヴォイが彼女にかけていた期待の高さが分かりますね。10曲中5曲がこのメンバー、翌12月には、ハービー・マン(fl)が加わりベースが替わってさらに5曲。2度のセッション、計10曲収録されているこの作品、彼女が22歳の時の吹き込みになります。

20011022

 可愛らしくて暖かみのある声。これだけで合格なのですが、歌唱力抜群。「if I love again」、しっとりした歌い出しから、一転して飛び跳ねるような歌い方。温かさに包まれながら聴き惚れてしまいますが、これも歌唱力の裏付けがあってのこと。女性の名唱が思い出せないバラッド「deep in dream」では、強弱を絶妙なさじ加減でつけていき、まさに夢見心地ですね。

 サヴォイの隠れた名盤と言っていい出来なのですが、好バッキングも大きく貢献しております。ジャズが最も勢いが良かった時代の好手を揃えたバック・メンバーが、好演奏を繰り広げているのだから、これは当然のことでしょう。

 そのバックが控えめな「I think of you with every breath I take」、素敵なのは素敵な出来なのですが、ブレスのthの発音が強すぎるような気がしてなりませんでした。

 まぁ、英語で苦労している僕が言えることではないですけどね。