プレスティッジの看板ピニストのレッド・ガーランドが、半ば引退生活に入る直前に吹き込んだのが、この作品です。数多くある彼のピアノ・トリオ作品の中で、これが好きだという方も多いのではないでしょうか。ウェンデル・マーシャル(b)、チャーリー・パーシップ(d)が共演しているのですが、ジャケでの彼の枯れた雰囲気が印象に残りますね。
12分近い演奏のスロー・ブルースの“nobody knows the trouble I've seen”、並のピアニストなら間が持たないでしょうね。特にガーランドのような軽いタッチのピアニストだと、余計にね。でもガーランドはゆったりとリズムに乗りながら、飽きさせずに12分弾きまくっています。この12分間持たせる力が、彼の実力の一端なのでしょう。まぁ、この作品の白眉は“St.James Infirmary”かな。「これを聴いたら入院患者は・・・」って表現が、この曲にはよくされますね。