「天才ドラ マーの出現と、ジャズ界に激震を走らせた作品」っていうキャッチ・コピーで語られる作品です。 この吹込み時でトニー・ウィリアムスは18歳。これが、初リーダー作です。この前年にはマイルス のグループに加わっていたので、彼の神童ぶりがわかりますね。サム・リヴァース(ts)が入ったクァル テット、ハッチャーソン(vib)とハンコックが加わったセッションから構成されており、曲により 微妙にメンバーを変えています。その曲は、全てウィリアムスのオリジナルです。
サム・リヴァースとの「レッド」と「グリーン」が、 この時代の新主流派の産声と、1970年代まで強い影響を及ぼすことになる演奏を聴けます。 ピーコックと共にベースにリチャード・デイヴィスが入っての変則クァルテットなのですが、この 2本のベースの想像力豊かな演奏の上で、ウィリアムスとリヴァースが奔放な姿を聴かせてますね。 13年振りに聴いたことになる作品なのですが、その後1960年代後半のジャズ・シーンやロフト などをタップリ聴いてきた僕にとっては、この作品を手本にしたような演奏が頭の中を駆け回って います。ウィリアムスが、1970年代に結成した自己のユニットにこの作品のタイトルを付けた ほど、彼自身にとっても意義深い作品なのでしょう。