2000年5月31日掲載
Zoot Sims            Zoot At Ease
Famous Door原盤    1973年5月録音

 1年前に取上げた「ダウン・ホーム」と「イン・パリス」ぐらいしかズート・シムズの作品を持っていなかったのですが、この作品のジャケットは書籍でよく目にしていました。昨年末に復刻され入手したのですが、それまではカラーのジャケットだと思っていました。さて、内容 はシムズがソプラノ・サックスで吹込んだ作品です。ピアノにはハンク・ジョーンズが入ったクァルテット編成。この時期のシムズはパブロの専属になり、ベーシー、エラ、サラなどの大物と共演を重ねているのですが、フェイマウス・ドアーというレーベルにこの作品が吹込ま れていますので、パブロとの契約前の作品なのでしょう。

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 エリント作の“alabamy home”は悲しさ漂うメロ ディーで、いい曲ですね。シムズのソプラノがエキゾチックな香を若干折り込みながら、鳴っています。この作品を勝手に全編ソプラノ演奏と思い込んでいたのですが、この曲を含めて3曲 で、他の5曲は本職のテナーです。どれもマイナー調の曲で、シムズの感情移入力を堪能出来ま す。ソプラノの“softly,as in a morning sunrise”が、圧巻でしょう。この曲の演奏のベスト 5に入りますね。残りの4曲はと問われると、困るけどね。ハンク・ジョーンズの軽やかなピア ノも、ヒントンの60歳を越えているのに力強いベースも霞んでしまうほどの、シムズのなかせ方に圧倒されてしまいますよ。